
[Sustainablebrands.comから転載] サステナビリティ 新潮流に学ぶ 第11回
3.11東日本大震災から6年半以上が経過し、甚大な被害の記憶が薄れつつある中、被災地では夏のお盆行事やお祭りが復活しています。豊かな自然・伝統文化を育む東北・三陸地域一帯では、祭事・郷土芸能が日々の暮らしと深く結びつき継承されてきました。そうした文化的な力が、災害への回復力(レジリエンス)や復興過程に人々を繋ぐ原動力として見直されています。
伝統文化・祭事の復活の意味
7月下旬から8月にかけ、宮城県を中心に被災各地を訪れました。沿岸部の多くの所で巨大防潮堤の建設が進み、万里の長城のごとき景観が延々と立ち現れています。そして、仮設住宅から高台移転や復興住宅などへ、住民の移住も着実に進んでいました。
復興への歩みが進行しているなか、高齢化や若者の流出などの困難な厳しい状況は、全国に先駆けて深刻化しています。高台移住、防波堤建設などハード面での復興に目が向きがちなのですが、一方では人々の暮らし・コミュニティ・文化面での再建の重要性が、あらためて再認識され出しています。
とくに東北地方は、昔から伝統芸能や祭事などが人々の暮らしと深く結びついて、脈々と引き継がれてきた地域でした。震災を契機に気づかされたのは、人々の暮らしの基底には歴史・文化的な水脈があり、危機的な状況下でその力が甦り、出現する様子でした。