サステナビリティとCSR/CSVの関係性を考える


最近、企業のCSR担当部署が「サステナビリティ(推進)部」などと名称変更するケースが増えてきました。もちろんそれ自体は悪いことではないのですが、サステナビリティとCSR/CSVの位置づけをしっかり理解しておかないと、さまざまな混乱が予想されます。そこで、両者の関係性を改めてまとめてみました(オルタナ編集長・森 摂)。

オルタナのCSR/サステナビリティの考え

1)サステナビリティは「ビジョン」「あるべき姿」「ゴール」です。
サステナビリティ(持続可能性)は、企業がそこに向かってベクトルを定める、行き先です。具体的には、「2030年にはこうありたい」「2050年にはこうありたい」という姿です。こうしたサステナビリティを実現するために、企業は中長期の目標のもと、CSR/CSVに取り組み、さまざまな事業リスクを低減し、レピュテーションを高め、価値創造をしていくのです。逆に言うと、CSRへの取り組み無くしてサステナビリティの実現はありません。

2)CSR/CSVは、企業がサステナビリティを実現するための「経営ツール」です。
CSRは概ね「攻めのCSR」「守りのCSR」に分けられ、CSV(共通価値の創造)は、攻めのCSRの一部として位置づけられます。ですので、「CSRはもう古い、これからはCSVだ」と言い方は成立しないのです。また、CSVはCSRの代替にはなりません。CSRは、より大きな範囲を指し、「攻めのCSR」と「守りのCSR」(狭義と広義のコンプライアンス)から成ります。もちろん、その両方が重要です。

森 摂(オルタナ代表取締役)

森 摂(オルタナ代表取締役)

株式会社オルタナ 代表取締役。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在も代表取締役。前オルタナ編集長(2006-2025)。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。武蔵野大学サステナビリティ研究所主任研究員。一般社団法人サステナ経営協会代表理事。日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員。公益財団法人小林製薬青い鳥財団理事

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