考えてみると、日本にはもともと「三方良し」という「相手」や「世間」を大事にする商文化が根付いている。しかし、これとともに心得とされる「陰徳善事」があり開示が抑えられてきた。そこで私は「発信型・開示型の三方よし」に切り替えていくべきと考える。
「発信型・開示型の三方よし」に役立つのがSDGsだ。SDGsは未来志向で様々な事柄を考え、効果的に伝えるための世界の共通言語だ。
社会・環境の持続可能性については、1987年の国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が公表した報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」以降、経済・環境・社会のトリプルボトムラインの重視、2010年のISO26000による「社会的責任の手引」の発行と、次々に関係者の社会的責任への役割に対する要請が高まってきた。その集大成といえるものがSDGsだ。
筆者は31年間の農林水産省での行政経験で、うち3年間は外務省、3年間は環境省に出向した。その後、伊藤園で経営企画部、取締役などを経て、現職でCSRを通算7年間担当してきた。この経験から、Eではパリ協定、EとSとGでSDGs、Gではコーポレートガバナンス・コードの開始があった2015年は実に節目の年であり、「ESG元年」であると筆者は言ってきた。
「持続可能性新時代」の幕開けと言えるもので潮目が大きく変わった。昨年暮れにSDGsの優れた取り組みを表彰する第1回「ジャパンSDGsアワード」が、政府の「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」より発表された。2020年の東京五輪・パラリンピックも契機に、SDGs先進国を目指して企業の本業力を発揮すべきである。
2018年は、いよいよ、日本企業もSDGsを競争戦略に活用する「SDGs実装元年」にしなければならない。

■未来志向で考えるSDGs企画