トヨタ財団は8月9日、トヨタ自動車の問題解決手法をNPO向けに伝える第3期「トヨタNPOカレッジ カイケツ」をトヨタ自動車東京本社で開催した。第5回のテーマは、「対策立案」だ。これまでに導き出した真の要因(真因)への対策を立案し、組織内で実行していく。さらに、問題解決のステップをA3資料1枚にまとめ、11月に開かれる発表会でその成果を発表する。(オルタナ副編集長=吉田広子)
社会課題解決の担い手であるNPOは、大きなビジョンを掲げ、邁進する一方で、人材や資金の確保など、さまざま問題を抱えている。目の前の問題や困った人たちを助けることで手一杯になり、組織の基盤づくりに手が回らないことも多い。
そこで、トヨタ財団は2016年に「トヨタNPOカレッジ カイケツ」を開始した。助成金を拠出するだけでなく、トヨタ自動車の手法を活用し、NPOなどに問題解決力を身に付けてもらうことを目的にしている。
今期は17団体25人が参加。約7カ月間をかけてトヨタ式「問題解決」を実践する。
講師は、トヨタ自動車業務品質改善部の古谷健夫主査、日野自動車TQM推進室の鈴木直人主査、元トヨタ自動車でのぞみ経営研究所の中野昭男所長、中部品質管理協会企画部の細見純子次長の4人が務める。
■問題解決の「ストーリーテラー」に

カイケツでは、「テーマ選定」「現状把握」「目標設定」「要因分析」「対策立案・実施および効果の確認」など、問題解決の一連のステップをA3用紙1枚にまとめていく。

古谷講師は「皆さんには問題解決の『ストーリーテラー』(物語の語り手)になってほしい。何のために問題解決をするのか。どうやって問題解決を行うのか。余計なことはそぎ落とし、本質のみにしぼり、簡潔に、訴えたいことをA3に込めてもらいたい。『やって良かった』と思えるように、対策を実行し、対策の効果を評価してもらえれば」と、受講生にエールを送った。
「要因解析」に続く「対策立案」は、要因解析で見つけた真因を解決するための対策を立てるステップだ。要因解析では、4M(人、機械・設備、方法、材料)をベースにさまざまな要因が導き出されるが、そのなかから影響力の大きい真因を特定し、対策を立案する。
中野講師は対策立案のコツとして「『対策内容』『担当者』『期限』を決めること」と話す。できるだけ多く、対策のアイデアを出した上で「効果:実現性:コストを5:3:1の割合で絞り込んでいくのが良い」と続けた。
トヨタ式「問題解決」では、こうした対策を定着させ、標準化することを重要視している。中野講師は「担当者が代わっても、同じ成果が出るように、常に書き物として残しておくことが大切」とアドバイスした。
■組織全体で問題解決に挑む