
2020年に向けて、障害者差別解消法の理解や心のバリアフリー教育の必要性が求められています。そして高齢化率が約28%を超える日本において、今後障害の有無に関わらず、生活の不便さを抱えている人は増えていくと考えられます。そこで、あらためて、「障害」とは何かを考え、社会全体でどのような対応をしていけば良いのか考えてみましょう。(公益財団法人日本ケアフィット共育機構・サービス介助士インストラクター=冨樫正義)
障害について考えるうえで、2つの考えがあります。それが、「障害の個人モデル」と「障害の社会モデル」です。社会生活上の不利や困難の原因は、個人の心身機能の制約にあるという考えを「障害の個人モデル」と言います。
一方、社会生活上の不利や困難の原因は、社会の作られ方の偏りにあるという考えを「障害の社会モデル」と言います。社会の偏りとは、社会の多数派である障害のない人にとって使いやすい社会が作られていることで、少数派である障害のある人は、様々なバリアを課せられているという考え方が「障害の社会モデル」です。
例えば、タッチパネル式の自動販売機は視覚に障害があるから使いにくいという考え方が障害の個人モデルであり、視覚に障害のある人の利用を想定せずに作られていることが問題だという考え方が障害の社会モデルです。
今後、社会モデルに基づいて社会の偏りを是正していくことが理想ですが、すぐには対応できないこともあります。また、人によってニーズは異なるので、全ての人にあった社会を作るには時間がかかります。
そこで個別のニーズに基づいて、可能な範囲でバリアを取り除くように働きかけているのが、障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)です。