
EVは、こうしたESG投資を意識した法人の営業車など保有車両に浸透する可能性があります。もちろん、環境・社会意識が高い個人、特に「ミレニアル世代」や「Z世代」が有望な顧客候補です。
フォルクスワーゲンのトーマス・ウルブリッヒEV担当は「ノルウェー、オランダ、中国市場が有望だ」と話しました。サステナビリティの意識が高い北欧は当然として、環境対策を急速に進める中国市場の動きが注目されます。
日本の完成車メーカーや部品メーカーも、EV化への対応が急務です。まさに社会や市場の変化に、ブランドがどう対応できるかが問われているのです。
2018年通年のEVとプラグインハイブリッドを合わせた販売台数は米テスラが24万台、中国2社がそれぞれ22万台と17万台、4位のBMWが13万台、4位の日産「リーフ」は10万台弱でした。5社合計しても100万台にも満たなかったのです。
ところがVW幹部は「ID.3をビートル、ゴルフに続く三つ目の旗艦車種にしたい」と意気込みます。同社グループは2025年までにVWだけで年間販売100万台、アウディやポルシェを含めた全ブランドでは同300万台を目指します。
つまり市場全体でも100万台程度しかなかったEV(プラグインハイブリッドを含む)は、これからの5年余りで、数百万台に達する可能性があるのです。「5年で7倍」の成長力は、トリプルボトムラインのうち「経済」の存在感を高めます。
ただし、「経済」だけを重視するのではなく、その前提となる環境負荷の低減に取り組み、社会のさまざまなステークホルダーと長期的なエンゲージメントを重ねていける企業しか生き残れないでしょう。つまり「トリプルボトムライン」にどう取り組むかが、自動車や部品メーカーの成否を握るはずです。