
牧草地を森に還すための方法を模索
温暖で夏に雨が多い日本の気候では、草地は時間が経てば何もしなくても森に戻るのだが、牧草地の表土は厚く牧草の根が堆積していて、樹木の種子が飛んできても発芽しにくい環境となっていた。
そこで村から相談を受けたブナの研究家である長野県職員の小山泰弘(農学博士)氏らは2011年に表土を剥ぎ取った後にブナの種子の播種、牧草地林縁部の実生のブナ稚樹を移植し経過を観察したところ、表土を剥ぎ取ったところにはブナが発芽し、植えた稚樹も活着することが確かめられた。
そこで、表土を剥ぎ取ったところに牧草地内の林縁部に実生で生育しているブナの稚樹を移植することで牧草地をブナの森に還そうと考え、東京のNPO法人 森のライフスタイル研究所と連携してボランティア活動による森づくりを計画した。

伊藤忠建材もこの森づくりに賛同
このブナの森づくりに賛同してくれたのが、当時、地球樹プロジェクトの一環として自分たちの手で自然環境保全活動を行おうとしていた伊藤忠建材だった。奥志賀方面へ抜ける林道沿いの約2haの未利用牧草地を「地球樹の森」と名付け、毎年、社員の手によるブナの植樹活業を行っている。
当初は、社内の各部署の社員で構成された地球樹プロジェクトのメンバーが中心となり、社内公募で参加者を募って森づくりを実施していた。2016年に10年間の活動期間を終え地球樹プロジェクトが解散となると人事総務部が主体となり、現在では新入社員研修と連動させながら森づくり活動を行っている。