■世界で勢いを増す脱石炭の流れ
レポートによれば、石炭関連事業への保険引き受けを停止または制限する方針を掲げた保険会社は、この1年で米国や豪州の企業を含め新たに10社増えて合計17社になった(ランキング対象のなかでは14社)。
マーケットシェアでみると、「元受」保険市場の9.5%、またリスク分散のために保険会社が他の保険会社に責任を一部または全部転嫁する「再保険」市場の46.4%を占める。

レポートは「保険の適用を受けられなければ、その部門は銀行の融資も受けられない。ほとんどの石炭事業は、保険の引き受けなしでは融資を受けたり、建設や事業運営を行ったりすることはできない。……保険会社は、社会のリスク管理者として、気候危機を回避するための世界規模の行動を支援する責任がある」と指摘している。
前出の田辺氏は、「日本の大手損保は海外でのビジネスを急拡大させており、ビジネス展開にあたりグローバル・プレーヤーとしての責任を考慮することが求められる」とし、以下のように述べた。
「損害保険ビジネスという本業で、パリ協定の目標との整合性を確保することが重要であり、新規石炭火力発電事業への保険引き受けを停止することが、最も重要な一歩だ」
ランキングは2017年から年1回実施しており今回が3回目。「保険引き受け方針」と「投資方針」の他、「気候に関するその他の先駆的取り組み」のランキングも発表された。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への加盟や自然エネルギー会社への投資・保険引き受けなどを基準に評価したランキングでは、東京海上が9位、SOMPOが10位、MS&ADが14位だった。
撤退すべき石炭への保険引受 保険会社の石炭・気候変動対策スコアカード 2019