■ベルリン、視覚障がい者が放置問題でデモ

ドイツでは、2019年6月に電動キックボード(ドイツでは「eスクーター」と呼ぶ)が解禁され、18社が認可。それに伴い規制ができた。
時速は20キロ、自転車専用道路のみ走行可能で歩道は禁止だ。自転車専用道路がないところでは車道を走る。14歳以上(フランスは12歳)が使用でき、免許はいらない。歩道を走れば15~30ユーロ(1800円~3600円)の罰金を取られる。
また保険に入り、毎年更新する義務がある。鉄道では、畳んで座席の下に入れれば無料で車内に持ち込むことができるが、列車内の自転車置き場に置くことはできない。
ドイツでも、電動キックボードが製造やメンテナンスで温室効果ガスを排出することは知られている。マリア・クラウツべルガー連邦環境庁長官は、「自転車に比べると環境に非常に悪い」とまで言う。
駅やバス停から遠いところに住んでいる人が、駅まで車の代わりに使い、その後電車やバスに乗るなら使う価値がある。しかし電動キックボードは郊外にはなく、都市の中心街に集中している。「自転車や徒歩で行ける距離を電動キックボードで走るなら、環境にも健康にも悪い」と同庁は指摘している。
使用者のマナーの悪さはドイツでも問題だ。ドイツ自動車連盟(ADAC)が昼間ベルリンなど6都市で4千人を観察したところ、4分の1が規制を守っていなかった。夜は、飲酒運転で事故を起こす人が多い。
放置もパリと同様、問題になっている。9千台があるベルリンでは、そのため歩道を歩くことが困難な人たちが出てきた。視覚障がい者だ。歩道のすべすべした部分を選んで歩く際に、電動キックボードがそれらの場所に放置されているので、つまづいて転ぶ危険性がある。
8月にはドイツ視覚障害者協会がベルリンでデモをした。同協会の幹部の一人は、地方紙「ベルリーナー・ツァイトゥング」の取材で「市は決まった場所にキックボード置き場を作るべきだ。できれば歩道から離れたところにしてほしい」と訴えた。
ニュルンベルクの市場調査機関が2019年9月に行った調査では、ドイツ人の7割が「電動キックボードに関心がない」と答えていた。自転車に乗る人が多く、環境意識が高いドイツでは意外と早く衰退するかもしれない。
■ロンドン、求められる法規制