■オルタナ本誌60号 TOP INTERVIEWから
アディダスは海洋プラスチックごみを転用した靴や衣類を販売するなど、積極的に社会的革新(ソーシャル・イノベーション)を進める。その背景にはどんな戦略があるのか、日本法人でマーケティング事業本部長も務めるトーマス・サイラー副社長に聞いた。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、吉田 広子=副編集長、文・寺町 幸枝)

—多くの企業が「パーパス」 (存在意義)について語るようになりました。アディダスのパーパスとは何でしょうか。
アディダスの創業者アディ・ダスラーは70年ほど前、「アスリートを助けたい」というとても純粋な目的のもとで事業を始めました。彼が目指したのは最高のスポーツ用品を作ることで、靴作りから始まりました。
アディダスの歴史の中で、私が最も好きなストーリーがあります。ナチス政権下で行われたベルリンオリンピック(1936年)でのことです。
当時の世界でも根深い人種差別がありましたが、アディは陸上競技の米黒人選手ジェシー・オーエンスに手作りの靴を提供し、彼は4種目で金メダルに輝いたのです。
アディダスは人種も肌の色も、そして性別も関係なく、最高の製品を提供するという目的を持ち続けています。
アディダスには「スポーツを通して人々の人生を変える力がある」というコア・ビリーフ(確たる信念)があります。これがアディダスのパーパスとも言えます。
海洋プラごみを運動靴に転用
—海洋プラスチックごみ問題に取り組む姿勢が、他社や社会に影響を与えています。
アディダスにとって、サステナビリティ(持続可能性)はマーケティングを超えた、社内外のコミュニケーション全体にかかわる重要なトピックです。消費者の関心も高いので、積極的に情報発信しています。
*この続きは雑誌「オルタナ」60号(第一特集「循環経済(サーキュラーエコノミー)はR(リサイクル)よりもR(リデュース)」、3月30日発売)に掲載しています。