■自発的な運営を求めて
吉村さんが今回保育園再開のためのボランティアを組織する上で、一番念頭に置いていたのが「自発的な支援になるようにすること」だったという。「毎日始まる前に、全体ミーティングを設けて、仕事ではないので楽しくやってほしいと言っていました」と話す吉村さん。実際、ボランティアに参加した人たちは、楽しそうに作業をしていたという。
さらに、吉村さん自身、リーダーとはいえ細かく何かを指示するようなことは出来るだけ避け、各場所に配置されたボランティアたちに、自分たちで考え、行動してもらうことを促したという。そうした動きが他の支援場所と一際違った形で表現されたのが、支援を受けた物資を「店」のように作り上げたことだ。

「ガーベラ」と名付けられた教室(店舗)には、保育園に通う子どもたちが必要とする子供服や下着から、メンズやシニア向けまで主に衣料品が並べられた。名前をつけたのは、ボランティアで参加した女子高生。「希望」と「前進」というガーベラの花言葉に被災者への思いを込めたという。さらに、ボランティアとして参加していたアパレル出身者が、この教室の陳列や整頓方法などを工夫し、リーダーとしての力を存分に発揮していたという。

また、川岳保育園があった「坂本」地区からとった「坂本商店」という教室には、生活雑貨全般が並び、タオルの仕分けや、洗剤やシャンプーといったあらゆる支援物資が並んだ。「支援を受ける人たちが、少しでもワクワクする空間を作りたい」という吉村さんの思いを、ボランティアとして参加した人たち皆が共有し、装飾なども施す形で完成した空間だ。
■責任者不在でも機能する場所