花王とライオンはフィルム容器のリサイクル推進に向けて企業の枠を超えて協働する。共通利用が可能なリサイクル材料・容器を設計し、消費者、行政、流通と連携してフィルム容器の分別回収の仕組みを強化していく。複合素材からなるフィルム容器はメーカーによってプラスチック素材が異なるため、リサイクルしにくいという課題を抱えていた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

日用品メーカーはプラスチック使用量を減らすため、1990年代から製品容器の「詰めかえ式」「つけかえ式」の開発を進めてきた。その結果、いまでは市場に出ている多くの製品が「詰めかえ」や「つけかえ」だ。日本石鹸洗剤工業会 「石鹸洗剤業界における容器包装プラスチック使用量の推移」(重量ベース)によると、2018年の詰めかえ・つけかえ用製品は、全製品出荷量の8割を占めている。
こうした「詰めかえ」や「つけかえ」容器はプラごみ削減につながる一方で、課題もある。詰めかえ容器に使うフィルム素材が複合素材からなるため、異なった素材をまとめてリサイクルすることが困難であることだ。
そこで、花王とライオンは、循環型社会を目指すために企業の枠を超えて協働することを決めた。同じ業界のライバル企業同士がリサイクル課題で協働することは珍しい。
両社が取り組む活動は次の4つ。1)消費者、行政、流通との連携による、フィルム容器の分別回収の仕組みの検討。2) 企業間あるいは業界の垣根を越えて共通利用が可能なリサイクル材料・容器の品質設計。3)共同で回収・再生したリサイクル材料の活用方法の検討。4)リサイクルに対する消費者への普及促進。
まずは、地域住民と協力してフィルム容器の分別回収と啓発を行なう「リサイクリエーション」を始め、フィルム容器リサイクルの技術的な課題を共有する。将来的には、リサイクリエーション活動を継続しながら、フィルム容器から再度フィルム容器に再生する水平リサイクルを目指す。