先生役の「忍者」が問いかけ

同社がスリランカで提供しているのは、基礎計算力を高める小学生向けのオンライン学習教材だ。子どもの集中力が続くように、1単元を15分程度に短くし、先生役の忍者のキャラクターが現地語のシンハラ語で問いかけ、子どもたちは問題に答えていく。
開校当初、ほとんど計算ができない子どもたちが14%いたが、いまではゼロになり、足し算の成績も25・4%向上した。保護者からは、挨拶や手洗いといった日本流の「しつけ」を学べる点も評価されているという。
先生の代わりに、生徒をサポートするのがファシリテーターだ。BOP層の女性たちが採用されている。
湯野川社長は「オンライン教材のため利益率は高く、ファシリテーターは教務以外の塾の運営や子どものモチベーションに注力できるのもビジネス上の利点」と説明する。スリランカの平均月収は約2万円。Surala Jukuの月謝は5 0 0 スリランカ・ルピー(約390円)で、負担の少ない価格に設定されている。すららネットはスリランカで、2017年末までに100教室、生徒数1万人を目標としている。
「アジア全体ではまだまだ多くの子どもたちが、貧困や距離などが理由で、公教育を受けられていない。オンライン教材で教育の質を担保し、教師の教務力に依存しないやり方で全体の底上げをしていきたい」(湯野川社長)
*雑誌オルタナ44号(2016年3月30日発売)「世界のソーシャルビジネス」から転載