■世界のソーシャルビジネス 北米編 米国

「Upcycle=アップサイクル」の家具職人がNYブルックリンを拠点に持続可能なモノづくりに挑戦している。アップサイクルとは、捨てられようとしている不用品や廃材を利用して、新しい価値を生み出すことを指す。リサイクルの一歩先を行くものとして、大都市圏を中心に、人々が注目し始めている。(ニューヨーク=安部 かすみ)
ニューヨークやロサンゼルスなど米国の大都市圏において、サステナブル(持続可能)な生活や環境作りへの関心が高まっており、その一環として、リサイクルの一歩先を行くアップサイクルという概念が注目され始めている。
「他人にとっては不要なものでも、いかに価値あるものに変えるかが私たちの使命」と語るのは、アップサイクルの家具職人であり家具製作会社リデュー(Redu)の代表アンバー・ラシャックさん。
アンバーさんによると、米国人でもアップサイクルという概念を知っている人はそう多くないという。彼女が西海岸からニューヨークに引っ越して辟易したのは、ゴミや廃材、ポイ捨ての多さだった。そこで、16年間の映像ディレクターのキャリアを捨て、2012年にリデューを興した。
アップサイクル職人が使う素材は、木工製作所で出た廃棄前の木片や映画製作現場で役目を終えたメタルなどから、足の壊れたイス、買い手のない古着、カフェ輸入後に不要になったコーヒー豆の袋などまで、「これまで捨てられてきた」ものだ。
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