フランスの総合スーパー最大手「カルフール」が、オーガニック専門店「ビオセボン」を買収することが分かった。11月2日、パリ商事裁判所の手続きで決定した。ビオセボンは今年9月に会社更生法を申請した後、5社が買収を競っていた。「ビオセボン」の商号はそのまま維持し、元従業員1000人以上を再雇用するという。(在パリ編集委員・羽生のり子)

カルフールは、世界小売業ランキング(デロイトトーマツ調べ、2017年)で世界7位の総合スーパーで、フランス国内の小売業としてもトップの存在だ。カルフールはこれまでに南西部のオーガニック専門店チェーンを買収しており、自社の名を冠した専門店「カルフール・ビオ」も展開している。
今回、カルフールが、不透明な経営手法で破たんしたビオセボンを買収するのは、フランス国内や欧州でオーガニック食品への関心が高まり、今後も需要が拡大するとの経営判断があったとみられる。
カルフールは2000年に日本に進出し、一時は千葉市などに8店の総合スーパーを展開したが、その後、日本事業の経営権をイオンに譲渡し、日本から撤退した。現在はイオンが「イオンマルシェ」の名称で運営を続けている。イオンはビオセボン株式の19.9%を保有しており、持ち株をカルフールに売却するのか、このまま保有するのかが注目される。欧州で顕著になり、日本でも拡大しつつあるオーガニック市場において、イオンとカルフールが連携を深める可能性もある。