米大統領選は民主党のジョー・バイデン候補が当選確実になり、いったん離脱した「パリ協定」への早期復帰が見込まれる。菅義偉首相も遅まきながら、10月26日の所信表明演説で、「日本も2050年までにカーボン実質ゼロ」と表明した。その一方で、再エネへの逆風になりかねない奇妙な政策が進んでいる。(オルタナ編集長・森 摂)

10月5日17時、新電力会社24社から13人の経営者らが、環境省に小泉進次郎大臣を訪ねた。グリーンピープルズパワーの竹村英明社長やLooopの小嶋祐輔・電力事業本部本部長らだ。
新電力会社とは電力の部分自由化(2000年)を機に、電力事業に新規進出した企業や生協、NPOなどを指す。今やその数は600社以上に達し、再生可能エネルギーによる発電や電力小売りを手掛ける企業も多い。
新電力会社の13人が小泉大臣を訪ねたのは、「容量市場」に関する要望書を手渡すためだ。一般の人には耳慣れない言葉かもしれない。極めて簡単に書くと、将来(4年後)の電力取引価格を発電会社が応札し、新電力を含めたすべての電力小売り会社が落札価格で4年後に買うことを義務付けるものだ。
容量市場とは「キャパシティ・マーケット」の訳語で、1990年代に欧州や米国に広がった。経産省が立ち上げた容量市場は、米ペンシルベニア、ニュージャージー、メリーランドなど13州とワシントン特別区をカバーする「PJM」をモデルにしたものだという。
そもそも、なぜ容量市場が必要なのか。資源エネルギー庁のホームページによると、次の通りだ。
海外の容量市場の5-10倍の価格で落札