アディダス、「海洋プラごみ」製品を通じて解決へ

アディダスは海洋プラスチックごみを転用した靴や衣類を販売するなど、積極的に社会的革新(ソーシャル・イノベーション)を進める。その背景にはどんな戦略があるのか、日本法人でマーケティング事業本部長も務めるトーマス・サイラー副社長に聞いた。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、吉田 広子=副編集長、文・寺町 幸枝)

サイラー副社長は「アディダスの多くの社員がサステナビリティに関する案件にかかわりたいと思っている」と話す (撮影:福池 波宇郎)

 ──多くの企業が「パーパス」(存在意義)について語るようになりました。アディダスのパーパスとは何でしょうか。

アディダスの創業者アディ・ダスラーは70年ほど前、「アスリートを助けたい」というとても純粋な目的のもとで事業を始めました。彼が目指したのは最高のスポーツ用品を作ることで、靴作りから始まりました。

アディダスの歴史の中で、私が最も好きなストーリーがあります。ナチス政権下で行われたベルリンオリンピック(1936年)でのことです。当時の世界でも根深い人種差別がありましたが、アディは陸上競技の米黒人選手ジェシー・オーエンスに手作りの靴を提供し、彼は4種目で金メダルに輝いたのです。

アディダスは人種も肌の色も、そして性別も関係なく、最高の製品を提供するという目的を持ち続けています。アディダスには「スポーツを通して人々の人生を変える力がある」というコア・ビリーフ(確たる信念)があります。これがアディダスのパーパスとも言えます。

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森 摂(オルタナ代表取締役)

森 摂(オルタナ代表取締役)

株式会社オルタナ 代表取締役。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在も代表取締役。前オルタナ編集長(2006-2025)。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。武蔵野大学サステナビリティ研究所主任研究員。一般社団法人サステナ経営協会代表理事。日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員。公益財団法人小林製薬青い鳥財団理事

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