経済産業省が次世代を担う人材を「教育を通して手にしたスキルや思考を、社会が直面する諸問題の解決に役立たせるべく、考え行動できる人間」と定義しているが、世壱さんはまさしくこの定義にピタッとあてはまる。どのような経験や環境が彼を育てたのだろうか。
「セルフリフォーム、釣り、畑、魚捌き、包丁研ぎといった家庭で体験した数々のお手伝いに大きな影響を受けているように思います。そういったお手伝いを通して、自然の恩恵を受けて生きていることを実感するようになりました。科学の発展は僕たちの生活を豊かにしています。だからこそ、科学と自然が共存していく社会が必要なのかなと考えるようになりました。そんな時にSDGsを知って興味を持ち、行動したいと思ったのです」

さらに世壱さんは、地域の方との関わりも大きかったと語る。
「先日は漁師の方にお話を伺う機会があり、地球温暖化や乱獲のせいで、魚が減っていることを知りました。そのお話を聞いて、乱獲するのも漁師だけど、生きるために乱獲をするしかない漁師さんもいる。そうなったら、気候変動の問題に取り組みつつも、漁師の仕事のサポートをすることが、環境面にも繋がっていくのではないかと思いました。いつも地域の方に新しい視点をいただいています」
常に一次情報に触れ、自ら体験を積み重ねることで生きた学びを手にしてきた世壱さん。中学生活を終えようとしている今、何を思い考えているのだろうか。
「家族や地域から応援してもらい、多くのチャレンジをさせてもらったことに感謝しています。自分の経験から、もっと挑戦できる学校や社会になっていけば、もっと多様ないいアイデアが生まれるのではないかと思います。持続可能な社会のためにみんながチャレンジできる場所が必要です。僕もそういった場づくりができるよう、学びを続けていきたいと思います」