【連載】KIYOの哲学

日本人の健康レベルが低下していることは否めないが、それは大人に限ったことではなく、子どもたちにも同じことが言える。その一つの表れがアレルギーの増加だ。私がレシピ提供を行う幼稚園の調査によると、幼稚園児の17%が、何らかのアレルギーを持っているという。
アレルギーには遺伝的要素の影響も大きいと考えられるが、これだけアレルギーが増加するには、アレルギーを誘発する理由がほかにあると考えるのが妥当だろう。
その一つは原因物質である「アレルゲン」の増加だ。スギ花粉やダニ、卵、牛乳などもアレルギーの原因になる。
もう一つの要素は、体の中の問題で、エイコサノイドと呼ばれる体内調整物質がバランスを欠いていることだ。エイコサノイドには大きく分けて二種類ある。炎症系エイコサノイドと抗炎症系エイコサノイドだが、現代の食生活では圧倒的に炎症系エイコサノイドが多くつくられる。
アレルギーは基本的に「免疫」の問題であり、本来は自分を守るはずの免疫が、何らかの理由で反乱を起こし、過剰に反応する状態になってしまうのがアレルギーである。
アレルギー反応のプロセスで体内に炎症が起きるのだが、現代の食生活はその炎症を起こすエイコサノイドの材料ばかりを摂取しているのだ。それはオメガ6脂肪酸(リノール酸など)である。それが代謝されてアラキドン酸となり、炎症系エイコサノイドがつくられる。このアラキドン酸は肉類にも多く含まれている。
一方、抗炎症系エイコサノイドの材料になるのはオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)が代謝されてできるEPA(エイコサペンタエン酸)だ。鰺アジや鰯イワシなどにも含まれているのだが、現代の食生活では十分には摂取されてはいない。
オメガ3脂肪酸を多く含んでいる食品として勧められるのは亜麻仁油だが、あまりポピュラーとは言えない。
亜麻仁油をせっせと摂ればすべてのアレルギーはなくなる、などと軽々には言うことはできないが、症状が改善されたという報告は受けるので、摂取する価値はあるだろう。ただし無尽蔵に摂れば良いというものではない。
何事にもバランスが大事で、オメガ3脂肪酸1に対して、オメガ6脂肪酸4くらいの比率で摂るのが理想的とされる。このバランスで脂肪酸を摂取していると、様々な体内炎症が治まっていく。アレルギーの子どもを持つ親や、何らかのアレルギーがある方は、脂肪酸の摂り方を変えてみたほうが良いのではないかと考察する次第である。