実質100%自然エネルギー由来の電気を供給しているハチドリ電力は2月3日、固定価格プランを発表した。同プランは大手電力会社の従来プランを基準に設計しており、大手電力会社よりも安いのが特徴だ。多くの新電力会社は、自前の発電だけではまかなえないので、電力の卸市場で電気を購入している。卸価格に応じて電気料金が変わる「市場連動型」だが、年末から起きている電力の卸価格の異常高騰のあおりを受けていた。卸価格に左右されない固定価格にすることで、「自然エネルギーは高くて不安定」というイメージの払しょくを目指す。

「自然エネルギーに切り替える人が増えている中で、この機運を止めたくなかった。市場変動リスクを一手に被ることにはなるが、固定価格にすることで、自然エネルギーへの不安はなくなる」
ハチドリ電力を運営するボーダレス・ジャパン(東京・新宿)の田口一成社長はそう話す。
ハチドリ電力では、再エネ指定の非化石証書購入により実質的に自然エネ100%の電気を供給する。ユニークなのは、その売り方にある。電気代の1%をNPOへの寄付に、さらにもう1%を、自然エネルギー発電所を増やす基金にまわしている。
2020年4月から始めたサービスだが、社会課題の解決に関心が高い事業者や個人などを中心に契約数を順調に伸ばしてきた。だが、ここに来て「市場連動型」の課題も見えてきた。
「電気を購入する費用に連動した市場連動型のプランを採用することで、お客様に価格メリットをご提供することができていました。比較的安値で安定していた電力卸取引価格ですが、今回の異常高騰を受けて、逆にお客様をそのリスクにさらしてしまいました」
「『自然エネルギーは高くなる』、『価格も不安定』という見方が生まれ始めています。そこで、大手電力会社の従来プランと同じ料金体系で、さらに安い固定料金にすることで、自然エネルギーに切り替える機運を止めたくないと思い決断しました」
「せっかく始まった電力自由化。ここで『新電力は危ない』と言われてしまうことがないように、『大丈夫だよ。安心して自分が使いたい電気を選んでください』という意志を示したかったのです」