これまで表参道のケーキ屋とコラボし、マーケティング活動を通して子どもたちが考案したケーキを販売するほか、「タンザニアの子どもたちに自分たちができること」というテーマで、SDGsに取り組んでこられた山下さん。
その後もアパレル会社と共同や、2020年にはエンターテイメントを通して社会課題を解決するWORLD FESTIVALと共同し、ヨルダンやネパールの子どもたちとの交流で感じた思いを基に、子どもたちが作詞作曲に挑戦し、CD販売をするという取り組みを行った。
「初めは、子どもたちが考えることに慣れていなくて、教員側が引っ張って授業を作ってしまったという反省がありました。しかし、自分で解を見つけようとする力、なんとかしようとする力、対話の先に解が見つかるんじゃないかと思える力こそが必要だと、実践を通して感じました。」
「そこで、大学生ボランティアにファシリテーターとして授業に参加してもらったり、普段の授業から対話ベースの授業を行ったり、リフレクションカードで内省の時間を取ったりと、思考力を育むトレーニングに力を入れるようになりました。」


総合の時間だけでなく、普段の授業から思考力を使う練習を積み重ねた結果、子どもたちが先生や関わる大人たちに意見や意思を伝える場面が増えていったという。「教員が言ったことをただやるのではなく、自分たちでやりたいという明確な意思を持ってやる。子どもたちの力は、大人を変え、やがては世界を変えるということを体感することが増えてきました。」
そう語る山下さんの笑顔から、山下さん自身が先生という仕事を楽しんでいることが伝わってきた。そんな山下さんは今後の展望をこう語る。「総合の時間で実践してきたプロジェクトを通じて、“自律的学習者が育つことで、社会が変わる”という思いが確信に変わりました。子どもたちの熱意のある真摯な言葉は、親を変え、先生を変えました。そういうことを小学校発でどんどん取り組んでいきたいです。」