【連載】オルタナティブな空間

JR京浜東北線の蕨駅・西川口駅付近で、ちょっとした中華街が姿を現しているのをご存じだろうか。先日、そこへ足を運んでみた。
きっかけは、『団地と移民』(安田浩一著/角川書店)という本を読んだこと。そしてほぼ同じタイミングで、UR都市機構が主催する「団地の未来に関する有識者会議」に出席し、そこで話題に上ったことだった。両者で出てきたのが芝園団地と、最寄駅である蕨駅の隣の西川口駅周辺。それがあまりにも気になって、自分の目で確かめたくなったのだ。
駅を降りて団地に近づくと中華食材の店や中古家電のリサイクルショップがあり、確かにそれらしい気配はある。ただ中を歩いてみても、足元の商店街に中華料理屋が複数あるくらいで特段他と違うところは見られない。ひとつだけ、すれ違う人々の会話のほとんどが中国語で、居住者の多くが外国人であることを感じさせた。