起業につきまとう「不安」、乗り越えるには

起業したばかりの起業家の悩みごととして、よく聞くのは、スキルやノウハウの”不足”、おカネの”不足”などです。

でも、実は走り始めた後に、これらのリソースは「手に入れる方法を考えながら実行するしかないんだ」と気づくものだったりします。僕らも、創業後走り始めた後に、いろいろな不足に直面しました。

例えば、お金がなくなって倒産寸前、といったように。その時に、無我夢中、必死に状況を打開しようとするその奮闘劇を見た、たくさんの方々に助けてもらいました。

バングラデシュの自社工場で現地社員に教える鈴木さん

最初から十二分にお金があったら、この事態に直面してなかったかというと、そうとは言い切れません。ダラダラとお金を食い潰して、結局は同じ状況に直面していたかもしれない。

サステナX

一歩踏み出した人は、みんな同じような経験をしていると思います。走り始めたら、厳しい状況に直面するのは、間違いない。その時に、その場その場で「火事場のクソ力」を発揮して、必要なスキルやノウハウ、おカネや仲間といった必要なものを、全力で手に入れていくようになる。

無いなら無いなりに、何とか工夫する。それが、今までになかった”新たな方法”や”新たな考え方”のきっかけになったりします。

あらかじめ準備をしておくことは理想的ですが、そんな状況は稀。「不足」を嘆くよりも、常々舞い込んでくる「不足」問題をテコに、その状況を全力でどう打開するか、を追究した方が、物事は間違いなく前進します。

これから、社会起業家を目指す人に伝えたいのは、お金やスキル、ノウハウは走りながらどうにかするようになるということです。それよりも、もっと高い壁として君臨する「不安」に立ち向かわなければいけません。

本当にその道を選んでいいのか、という不安。間違っていたらどうしよう、という不安。自分の心の奥底にある、目には見えないこれらの不安が、前進を阻む最大の壁。

この「不安」を超える方法を、もっているかどうかが、一歩踏み出す人と踏み出さない人の最大の違いかもしれません。

そんなときには、ざっくりとでもいいので誰かに話してみる。

このことを忘れないでほしいです。

さいごに、社会課題解決に対して挑戦していく人々を増やす上で、これらの「不足」や「不安」を超えやすい「環境」づくりは、とても重要だと考えてきました。そして、それを社会のエコシステムとして確立すべく、ボーダレス・ジャパンでは「恩送り経営」という独自の仕組みでその実験をしてきたので、また別の稿でご紹介したいと思います。

masayoshi suzuki

鈴木 雅剛(ボーダレス・ジャパン副社長)

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 1979年山口県出身。大学時代、やる気なくつまらなそうに働くバイト先の人々や、働きたくても働けない人々の存在を目の当たりにし、「世界で一番働きたい会社をつくる」ことを志す。現在は、社会問題の解決と同時に、仲間やその家族の幸せを実現する「いい会社」を増やし、世界へと拡げていくために、経営手法や共同体の仕組みづくりに取り組み、13カ国35のソーシャルビジネスを展開している。

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キーワード: #ソーシャルビジネス

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