3月8日の「国際女性デー」では英国でも多くのイベントがオンラインで行われ、特にSTEM(理系)分野での女性の活躍奨励が目立った。コロナワクチンの開発に成功したオックスフォード大学の研究所で女性の管理職が多い事が世界から注目されているが、英国では産官学を連携する団体やロレアル、アマゾンUKなどの企業による取り組みが以前から盛んだ。7歳から現役までを対象に、啓発や支援活動が行われている。(ロンドン=冨久岡ナヲ)
理系分野で働く女性が増え続ける英国
自国での科学とテクノロジーの進歩により、世界初の産業革命が起こり世界を変えたという自負を持つ英国。しかし、理系分野における女性の実力を認め、技術者や科学者の育成を少しずつ始めたのは第二次世界大戦の後だ。
21世紀に入り20年が経った今、英国でSTEM(ステム= 科学、技術、工学、数学の理系分野をまとめた呼称)分野の職業につく女性の合計は一昨年ついに100万人を突破した。男女従事者数における比率は2020年9月現在24.2%で、STEM分野で働く人の四人に一人は女性ということになる。
さらに各領域別に見ると、技術者は男女比10.4%、ITなどで17%とまだまだ低いが科学者の数は大幅に伸び、男女比が46.4%とほぼ男女同数に達した。管理職のほうはSTEM分野全体で15.1%とまだまだこれからだ。
しかし、アストラゼネカのコロナワクチンを開発したオクスフォード大のジェンナー研究所では、チームの総指揮を取るサラ・ギルバート教授をはじめワクチンの設計や実験担当リーダー、研究スタッフにいたるまで半数以上が女性だ。科学分野で女性の活躍が進んでいるという統計を反映しているとして話題になった。