コロナで失業が長期化、「生活保護ためらわないで」

2020年4月以降、月に複数回の食品配布や相談会を続けている(写真提供=自立生活サポートセンター・もやい)

――国の貸し付け制度もありますが、政府に期待する支援策について教えてください。

「総合支援資金」と「緊急小口資金」を合わせて、最大200万円借りられますが、すでに借りていて、困窮している場合が少なくありません。あくまで「貸付」ですから、返済も必要です。長期的な失業と借金でさらに苦しくなってしまう事態も懸念されます。

緊急小口資金等の特例貸付件数は、1月時点で累計140万件を超えました。単純に比較できるものではないですが、東日本大震災で10万弱ですから、その規模はけた違いといえます。

これだけ貸し付け件数が伸びている背景には、生活保護制度を利用しにくいということがあります。本来は、セーフティネットであり、国民の当たり前の権利なのですが、扶養の有無を親族に確認されるなど、必要な人が利用をためらってしまうハードルがあります。

たくさんの人が働きたいのに、働けないという状況に追い込まれています。そうした焦りのなかで、また不安定な仕事に就いてしまい、悪循環に陥ってしまう。再就職に向けて、生活保護制度を利用し、生活の基盤を整えることは大切なことです。

現在の支援制度は、経済状況が良い、あるいは回復することを前提に、短期の失業を想定しています。今後は、欧州のように長期の失業を見据えたモデルチェンジが必要です。

――企業にできることは何でしょうか。

非正規も含めて、まずは雇用を維持してほしいです。

日本の場合、個人よりも事業者への支援の方が手厚い。そして圧倒的に非正規労働者が弱い立場にあります。それが正社員と非正規社員の分断も生んでしまう。企業も苦しいと思いますが、新しい分野に挑戦して、新しい人材を登用するなど、どうにか経済をまわしてほしいと思います。

――食料配布は足りているのでしょうか。

コロナの感染拡大が発生して、1年が経ちました。年月が経つとどうしても関心が薄れてしまいます。

はじめは企業や自治体などから災害用に備蓄しているコメや食品などを寄付してもらっていましたが、継続的な支援を必要としています。

yoshida

吉田 広子(オルタナ輪番編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。2025年4月から現職。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #SDGs

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。