【連載】「森を守れ」が森を殺す
激増する気象災害に、世界はようやく二酸化炭素の削減に本気になってきたようだ。日本でも「再生可能エネルギー」の拡大に期待が集まる。だが、その中身は残念ながら怪しい。

なかでも急速に数を増やしているバイオマス発電は、本当に再生可能なのか。バイオマス発電は、林業で木材を搬出する際に出る枝条や山に残す間伐材、それに製材時に出る端材や建築廃材を燃料にする発想だった。ところが現実は、燃やすために木を伐っている。
なぜなら燃料が足りないからだ。未利用木材(FIT価格が32円)を燃料にする5MW級の発電所では、年間6万㌧、約10万立方㍍の木材が必要なのだ。とても集まらないから山の木を全部伐って、建材になる木も燃料にしてしまう。