大半の日本企業が無言で静観の構えを見せるなか、 注目されたのは、ビールを生産しているキリンホールディングスです。同社はクーデター後、「今回の事態は当社のビジネス規範や人権に方針に根底から反する」として国軍系企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)との合弁を解消すると発表、合弁解消の交渉を始めたのです。ビールの9割のシェア持つだけにインパクトは大きく、現地では大歓迎されました。
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キリンといえば、CSV(Creating Shared Value)で社会的価値と経済的価値の両立を目指すSDGs(持続可能な開発)先進企業です。世界のビジネスセクターで人権に関心が強まっています。2011年には「国連ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されています。また、SDGsには17ゴールが明記されていますが、前文に「すべての人々の人権の実現」がうたわれています。社会課題解決の大前提であり、企業活動の基本と言っていいと思います。
実は国際的な人権NGOであるヒューマンライツ・ナウは、クーデター前からキリンに対し、軍関係の提携先とは関係を断つよう要求していました。そうした圧力があったにしろ、人権に敏感なキリンでなければ、英断は期待できなかったに違いありません。
問題は他の企業です。何らかの形でキリンに続くところは出てくるのでしょうか。SDGsは経団連も後押ししているだけに一緒に声をあげてほしいものです。
沈黙はリスクです。「われわれが命を懸けて頑張っている時に何もしてくれなかった」と思後で批判されかねません。 「クーデターを機に国営化したミャンマー企業の相手先である外国企業には国際社会も厳しい目を向けています。自体が落ち着いたら、また商売を再開すればいいと静観を決め込んでいる企業も多いが、そんな姿勢で本当に再開できるのか。今しっかりした判断が求められている」。北角さんはそう語っています。 (完)