「気候変動対策のリーダーへの回帰」を図る米国として、バイデン大統領は就任早々、パリ協定の復帰を果たし、環境対策にまつわる大統領令に矢継ぎ早に署名している。EV普及率一位のカリフォルニア州は米国で初めて給油所の新設を禁じるなど、新たな施策を打ち出した。(寺町 幸枝)

トランプ前政権下でも積極的な環境対策を押し進めてきたカリフォルニア州は、予定よりも4年早い2016年に1990年のCO2排出量を下回る数値を達成している(LAタイムズ紙調べ)。家庭で排出されるCO2排出量は、他州に比べ平均して33%(2015年時点)も少ない。
特に州の中核となっているロサンゼルスでは、エリック・ガルセッティ市長が2019年に「LA新グリーンニューディール」を発表した。
人口400万人のこの町が推進するのは、エネルギー対策だけではなく、モビリティや住宅対策に加え、「環境関連の仕事(グリーンジョブ)」を増やすなど、あらゆる面でサステナブルな社会の構築だ。
新型コロナ対策で、政策変更を余儀なくされている行政機関が多い中、ガルセッティ市長は「環境意識が高まったことを契機に、(コロナ禍でも)自転車専用レーンを街に整備し、インフラ関連のゼロエミッション事業に対する投資を増やす」と、地元メディアの取材に答えている。
さらに、世界の自治体トップが環境とエネルギー関連で協力し合う「世界気候エネルギー首長誓約」の枠組みのなかで、世界の1300を超える自治体と協力し、「グリーンニューディール」を加速させていくという。