英環境関連サイト「クライメイトチェンジドットコム」は、サウジアラビアが2030年までに、再生可能エネルギー50%を目指すとともに、国内と中東地域で500億本規模の植樹活動を始めたと伝えた。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン・アール・サウード皇太子が指揮を執り、2つのイニシアティブを立ち上げ、気候変動対策に国をあげて取り組む。(寺町幸枝)

再エネ比率0.02%から50%へ
政府系のサウジ・プレス・エージェンシーの報道によると、ムハンマド皇太子は「気候危機によって王国内の砂漠化、砂嵐、大気汚染が進み、サウジの経済と国民の健康にダメージを与えている」と述べ、「世界有数の産油国であるサウジアラビアを、より環境に配慮した世界を構築するグローバルリーダーに変えることを目指している」とコメントしている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2017年のサウジアラビアの最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合は、わずか0.02%だった。隣国のアラブ首長国連邦は、2050年までに50%の目標達成を目指しており、首都のアブダビは2030年までに目標達成を目指している。
アラブ首長国連邦を拠点とする、気候変動コンサルタントのタンジード・アラム氏は、「世界最大の産油国であるサウジアラビアによる、再生可能エネルギーへの取り組みは、非常に大胆なものだ」とクライメート・ホーム・ニュースに語り、サウジアラビアの再生可能エネルギーへの意欲の大きさを評価している。
アラム氏によると、サウジアラビアの山岳地帯には、風力発電の可能性があり、再生可能エネルギーの大部分は、砂漠にある巨大な農場で発電された太陽光発電によるものになると予測している。
プロジェクトの規模と太陽光による発電力を加味すると、サウジアラビアの太陽光発電は他のどこよりも安くなると予想する。
実際IEAは「サウジアラビアの太陽光発電は、大規模かつ好ましい気候条件のもとで展開すれば、非常にコスト競争力のあるものになる」と2020年12月のレポートで報告している。
しかし、この50%目標を到達するためには、太陽電池技術など、特にエネルギー貯蔵への莫大な投資が必要となる。
これには、政府と民間企業の両方からの投資が必要であり、 政府の公共投資基金がリスクファイナンスを行い、競争入札プロセスをサポートするという仕組みが現実的だろう。