スターバックス コーヒー ジャパンは4月15日、アイス飲料の約7割にあたる23品目のカップをプラスチック製からFSC(森林管理協議会)認証紙に変更することを発表した。合わせて、ストロー不要のプラ製リッド(ふた)を導入する。これにより、年間約6700万本分のストローと約6700万杯分のプラスチックカップ削減効果を見込む。一方で、スタバはグローバルで「使い捨て」カップから再利用可能なカップへの移行を進めており、「使い捨て」を前提にした紙への代替には課題がありそうだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

スターバックス コーヒー ジャパンは2021年2月から、国内全店舗で、アイスコーヒーとアイスティー2種の計3品目を、紙カップとストロー不要のリッドに切り替えた。これを23品目に拡大し、4月16日から提供を開始する。
紙カップには、適正に管理された森林で生産された木材を原料にしたFSC認証紙を使用し、カップの内側と外側にラミネート加工を施した。ホットでもアイスでも兼用できる。
同社が2020年9月に発表したリリースによると、プラスチックカップ、従来のプラ製のふた、プラ製ストローを使った場合と比べて、紙カップ、プラ製のストローフリーリッド(ストローが不要なふた)の組み合わせで、1杯あたり約6割のプラスチック使用量が削減できる見込みだという。
だが一方で、「使い捨て」を前提にしていることには変わらず、さらに踏み込んだ施策が期待される。
例えば、スターバックスの韓国法人は、今年の夏から、韓国・済州の一部の店舗で「リユーサブル・カップ・プログラム(再利用可能なカッププログラム)」を開始する。デポジットを支払うことで繰り返し利用可能なカップが提供され、使用後にカップを返還すると返金される仕組みだ。今後4年間で拡大していく。
国際環境NGOのグリーンピース・ジャパン(東京・新宿)プラスチック問題担当の大舘弘昌氏は、「プラスチックを紙に切り替えるだけでは不十分で、全体の総量として、資源の使用量を減らしていくことが求められている。『使い捨て』を前提にしたビジネスモデルは、『循環しない経済システム』を温存することになる」と指摘する。
「『紙に代替すればプラ問題は解決する』という誤ったメッセージが世の中に広がってしまうことを懸念している。『使い捨てない』ビジネスモデルにいま舵を切ることは、その他の企業、ライフスタイルの今後の方向付けをすることになる。スタバが、真のサステナビリティーリーダーになることを期待している」と続けた。