メキシコのビール「コロナ エキストラ」を展開するアンハイザー・ブッシュ・インベブ(本社ベルギー)の日本法人は4月20日、都市部の遊休地を活用するアーバンファーミング(都市型農業)の一環として、「日本産ライム」の生産に着手することを発表した。国産ライムの需要創出を目指し、東京都渋谷区の屋上を活用した栽培を開始する。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ビルの屋上やベランダなど、都市部の空間を利用して農業を行う「アーバンファーミング」は、フード(食品)ロスの削減や、フードマイレージが低い持続可能な農業の形態として、世界中で広がっている。
東京23区内のビルの屋上には東京ドーム1900個分の農業用地ポテンシャルがあり、その全てを農地化した場合、50万食分の野菜を栽培することが可能だという。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン(東京・渋谷)は、ライムはコロナビールに欠かせない存在であることから、国産ライムの栽培プロジェクト「プロジェクトライム」を始動した。食と農の民主化を目指すスタートアップ企業・PLANTIO(東京・渋谷)と協働する。
日本全体のライム輸入量約2000トン(財務省貿易統計)に対し、国産ライムの生産量は約3.5トン(平成30年産特産果樹生産動態等調査)にとどまる。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンには、「農家にとってもほかの柑橘類より出荷単価が高いライムだが、国内生産が広がってこなかったのには、『需要が見えづらい』という大きな課題があったのではないか。コロナビールとともに使われるライムの消費ポテンシャルは推定100トン。コロナのライム需要と国内柑橘農家の供給をつなぐことで、国産ライムの市場を広げていくことができるのではと考えた」としている。