米カリフォルニア州では、最大手テスラ社だけでなく、EV(電気自動車)メーカーの集積が進む。その背景には、1970年代の州大気資源局(CARB)規制など、深刻な大気汚染に対応した世界で最も厳しい自動車の環境対策があった。加えて、州の「ZEVインセンティブ政策」に基づく積極的な助成金や賞金提供を目当てに、EV事業を目指す才能が世界から集まる。こうした流れから、同州のEV産業はすでに27万6千人の雇用を生み出している。(寺町幸枝・在外ジャーナリスト協会)

突出した主導力を持った州のZEV政策
カリフォルニア州は、1970年代から国内でも先駆的な環境対策を積極的に行ってきた。中でも1967年に設立された「カリフォルニア大気資源局(CARB)」が、米国内でも指導的立場にあり、様々なプログラムを開発してきた。
例えば、1990年に採用した「Zero-Emission Vehicle(ZEV)規制」は、自動車業界に大きなインパクト与えるものとなった。
20年の時を経て、現在カリフォルニア州が州の政策として推進する「ZEV市場発展政策」は、カリフォルニアの環境対策の基礎として存在しているだけでなく、インフラ整備や雇用促進のも結びつき、カリフォルニア州そのものを特徴づけるものに成長した。
また、米国だけでなく、世界的環境対策の指針となっていることは、2017年に中国と政策協力を行う協定も結んでいることからも分かる。現在は2035年までに、カリフォルニア州で販売する自動車や商業トラックにおいては、電気自動車などの「ゼロエミッション車(ZEV)」のみにするという政策を導入している。
こうした政策の影響もあり、カリフォルニア州は州単体だけで8万台以上のZEVを、2020年に販売している。全米一の人口を誇るカリフォルニア州が、このようにZEV規制をさらに強めていくことで、既存の大手自動車メーカーは、米国全土における環境対策を強いられている。