世界最大の家具チェーン「イケア」(本社オランダ)は5月17日、WWF(世界自然保護基金)とのパートナーシップを更新したと発表した。ロシア森林のFSC認定商業用森林地域の保全や、東南アジアでのオランウータンなど保護など2025年までの目標を新たに掲げた。(山口勉)

イケアは2002年からWWFと連携し、さまざまな業界で環境にプラスの影響を与える行動を促進するための活動を行ってきた。これまで217ヵ国で、森林、綿花、淡水、気候におけるプロジェクトを通じ、生物多様性の保護と向上に取り組んできた。
主な取り組みの成果としては「FSC認定森林3,600万ヘクタール増加による、欧州、アジアの木材市場の変革」がある。
このほか、「イケア家具の主要な木材調達地であるブルガリア、ルーマニア、スロバキア、ウクライナのカルパティア地域、ロシアの古い成長林の保護」「家庭菜園技術の確立を通じたパキスタン女性10000人の所得創出」を達成したという。
今後5年間の主な行動は、「ロシア森林のFSC認定商業用森林地域の保全」「東南アジアでのオランウータンなど絶滅危惧種の保護、熱帯林の維持」、「トルコ、パキスタン、インドでの水流域改善と修復」、「カーボンスマート農業実践の採用による温室効果ガス排出量の削減」などがある。
両者のパートナーシップは、「主要な景観を保護、管理、回復し、自然と気候にプラスとなるバリューチェーンが人々の権利とニーズを守ることになる」というコミットメントを再確認するものだという。
インターイケアグループのレナ・プリップ・コヴァツCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)は、「生物多様性を積極的に保護することが急務だ」とした上で、次のコメントを発表した。
「森林破壊や動植物生息地の転換を止めるとともに、劣化した景観の回復は、生物多様性の損失や気候変動に対処するために重要だ。WWFとイケアが力を合わせることで、より持続可能なビジネス慣行に影響を与え、刺激し、より良い保全と資源管理を目指す」