日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)はこのほど、乗用車だけでなく、トラックやバンなど貨物車両のゼロエミッション(ZEV)化を進める政策をとるべきとする意見書を関係省庁に送付した。貨物車両は、車両数は少ないものの稼働率が高いことから、自家用乗用車と同等量のCO2を排出している。(山口勉)

JCLPは脱炭素社会実現に向けて、社会から求められる企業となることを目指す日本独自の企業グループ(任意団体)で、2009年に発足した。幅広い業界から日本を代表する企業を含む 178 社が加盟している(2021年5月現在)。
意見書には以下の4つの要望が盛り込まれた。
1) 貨物車両のZEV化について明確で野心的な数値目標を設定
2) スケーラビリティ(拡大可能性)確保に向けた規制緩和等の制度的措置を検討
3) ZEVを前提とした新たなビジネスモデルに対応する柔軟な規制緩和や制度運営
4) 再生可能エネルギー由来の電源の充電・充填を促すインフラ網の整備に関する目標を設定
日本のCO2排出量のうち、自動車からの排出は約16%を占め、産業部門(34.7%)、業務その他部門(17.4%)に次ぐ主要排出源となっている。また、貨物車両は、車両数は少ないものの稼働率が高いことから、自家用乗用車と同等量のCO2を排出している。
海外では、自家用乗用車及び貨物車両の脱炭素化に向けて、段階的なZEVの目標台数を設定するとともにガソリン車やハイブリッド車の販売禁止を予定している国・地域が増加している。
一方国内では具体的な数値目標や充電・充填インフラ整備の指針が示されておらず、メーカーによるZEVの開発が後手に回る可能性がある。
このままでは日本を代表する産業である自動車産業の競争力が失われることも懸念される。
JCLPは、2050年カーボンニュートラル及び2030年温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%削減、50%の高みに向けて挑戦)の達成に、最大限貢献する決意で、今回の意見書もそのための取り組みの一つだ。