■スターバックス コーヒー ジャパンCEO 水口 貴文■
世界に33000店以上、国内でも1600店を展開するスターバックスが環境対応を進めている。最大テーマはプラスチックごみの削減だ。マイストローなど環境配慮型の飲用スタイルへの移行を促すが、そのカギは「共感」にあるという。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、池田 真隆=オルタナS編集長)

─繰り返し使えるシリコン製のストロー(990円)は数日で完売したそうですね。アイスラテなどの容器もプラ製容器からFSC認証紙に切り替えました。
慣れ親しんだカルチャーを変えるには、共感を得ながら広めていくことが大切です。プラから紙に切り替えたことで、賛同の声を頂きましたが、紙に変えたことに一定の違和感を持つ人もいました。
そのような違和感を少なくするには、パートナーからの声掛けが欠かせません。私たちはアルバイトを含めて店舗スタッフを「パートナー」と呼んでいます。大切なのは、「切り替えたこと」よりも、「切り替えた意味」を広げることです。共感を持ってもらうには、楽しく提案することが重要です。
コーヒー豆も持続可能な調達モデルを導入していますが、エシカルな調達基準についても、パートナーから目の前のお客さん一人ひとりに合った説明がカギとなります。
─一般的に、店舗には接客マニュアルがあるのですが、スターバックスの店舗にはマニュアルがないそうですね。
確かに、マニュアルもないし、一人ひとりが違う接客をすることを許容しています。ですが、パートナー全員に共通しているのは、「企業理念」に則っていることです。企業理念では、「コーヒーで心を豊かにすること」と定めています。
目の前のお客さんが何を求めているのか、どうすれば満足してくれるのか、一杯のコーヒーの提供を通して、価値を提供しているのです。スターバックスのサステナビリティの最大の強みは「人」だと自負しています
■環境目標の刷新、きっかけは絵本