※本誌オルタナ65号(2021年6月30日発売)に掲載した内容を一部抜粋して掲載します
仏検察当局は7月1日、中国・新疆自治区のウイグル人の強制労働に加担した疑いがあるとして、ユニクロなど4社の捜査を開始した(関連記事:仏検察によるユニクロ捜査の背景は)。発端は、豪シンクタンクが2020年3月に発表した報告書を基に、人権NGO4団体が提訴したことだった。同報告書では、日本企業14社を含む82社のサプライチェーン上で強制労働が行われていると指摘。オルタナ編集部では独自の企業アンケートを実施した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は2020年3月、強制収容所に入れられたウイグル人が、自治区を含む中国全土の工場に移送され、強制労働を強いられている実態を報告書にまとめた。
その数は、2017─2019年の3年間で少なく見積もって8万人以上に上るという。ASPIは、衛生画像や各種調査などを分析し、中国の9省にある27工場を特定。その工場と取り引きのある82社を公表した。
ウイグル人が中国全土の工場に強制的に移送されていることから、ウイグル産の綿や農産物、シリコンといった原材料を調達していないからといって、人権リスクがないとは言い切れない。
オルタナ編集部では2020年5-6月、ASPIの報告書で名指しされた日本企業14社に対し、人権方針に関するアンケート調査を実施した。
日本企業14社:京セラ、シャープ、ジャパンディスプレイ、ソニーグループ、TDK、東芝、任天堂、パナソニック、日立製作所、三菱電機、ミツミ電機、しまむら、ファーストリテイリング(ユニクロ)、良品計画(無印良品)
その結果、パナソニックは、メールに加えて電話も入れたが、答えはなかった。ソニーグループは個別の質問には回答せず、見解を説明する文書が届いた。
今後の取り引きに関する質問に対して、ジャパンディスプレイ、TDKは「強制労働の事実は確認できなかった」としながらも、直接、間接にかかわらず当該企業との取り引きを停止する方針を明らかにし、京セラは「親会社との取り引きを精査中で、見直しを検討する」とした。
ミツミ電機は過去に当該企業の親会社と少額の取り引きがあったことを認め、今後取り引きをすることはないとの方針を示した。
一方で、シャープ、東芝、任天堂、日立製作所、三菱電機、しまむら、ファーストリテイリング(ユニクロ)、良品計画(無印良品)は、当該企業との取り引きを否定し、今後の取り引きの可能性について明言を避けた。
具体的な各社の回答内容は次のとおり。