
※雑誌オルタナ65号「ビジネスと民主主義 ESGの「S」が問われる」(2021年6月30日発売)の記事です。オンライン有料会員に入会されると、本誌も無料でご自宅やオフィスに郵送します。
■分断と対立、企業にも責任
企業は民主主義を守るためにみずから立ち上がるべきだ─。「ハーバード・ビジネス・レビュー」は2020年11月号で、ビジネスと民主主義についての特集を組んだ。筆者のレベッカ・ヘンダーソン・ハーバード大学教授はこう書いた。(オルタナ編集長=森 摂、オルタナS編集長=池田真隆、副編集長=吉田広子、松田慶子)
「米国の企業は長年、米国の制度的枠組みを当然のものとして受け止めてきた。民主主義や法の支配は誰かが守ってくれる。だから企業は、粛々と利益の最大化に務めていればよいと思い込んでいた」
「しかし、2021年1月6日の出来事(議事堂乱入事件)は、もはや米国の民主主義を当然のものと受け止めていてはならないことを明らかにした」
「企業は、民主主義を必要としている。政府が、自由かつ公正な市場のルールをつくる能力と説明責任を持たなければ、市場経済は存続しえない」
その上で、企業リーダーは①民主主義の支持を明言する②民主主義をサポートする協調行動を取る③問題の根本原因に取り組む─などの行動が不可欠と指摘した。
ソーシャルメディア(SNS)の巨大プラットフォームも動いた。フェイスブックは、トランプ氏のアカウントを無期限で凍結した(その後、第三者機関から指摘を受け、2023年1月7日までの凍結に変更)。
同社コミュニケーション部門のニック・クレッグ部門長は「今後、さらなる違反行為があれば、彼のページとアカウントの永久削除を含む厳しい制裁を科すことになるだろう」と言及した。ツイッター社もトランプ氏のアカウントを削除した。