■キーワードは「全国、どこでも」■
トヨタ自動車が在宅勤務に関する職場からの距離制限を撤廃し、全国どこでも可能にする制度を導入したと明らかにした。出社が必要な場合は距離不問で交通費を全額支給し、従業員の負担を軽減する。トヨタはこれまでも積極的な在宅勤務等の新しい働き方を模索していたが、これが一つの答えとなった。(CSRコンサルタント=安藤 光展)

共同通信が8日、トヨタ自動車が在宅勤務に関する職場からの距離制限を撤廃し、全国どこでも可能にする制度を導入したと明らかにした。出社が必要な場合は距離不問で交通費を全額支給し、従業員の負担を軽減する。育児や介護との両立支援の一環とのこと。トヨタはこれまでも積極的な在宅勤務等の新しい働き方を模索していたが、これが一つの答えとなった。
生産部門はさすがに難しいが、日本最大メーカーが在宅勤務やテレワークを本格導入することで、系列企業・関連企業、業種を超えた他の国内大手企業にも影響があるのは間違いない。また製造業であってもできる限りテレワークを進める姿勢や方法論は、課題を抱える企業のヒントになるだろう。
2021年8月現在、日本各地で新規コロナ感染者数を連日記録更新している状況であり、コロナワクチンを2度接種してもマスク奨励とされるし、ワクチン接種しても半年経つと効力薄れてくるという話が常態化するならば、今後は対面機会を精査し、対面を減らすワークスタイルが必須になる。そうなると採用活動自体もオンライン化が中心となるだろうし、この数十年で最も大きなワークスタイルの変化となる。
2020年春以降、筆者および法人メンバーもオフィスに出勤する回数が激減したが、業務効率や売上に大きな影響はなかった。たとえば、2020年は講演依頼が2019年比で半分以下となったが、2021年に入り、対面以外ありえないと思っていた会長・社長がいる取締役会などでのオンライン・レクチャーが急増し、ほぼ2019年の水準に戻ってきている。時代の変化を実感している。
トヨタは、育児・介護等の事由の有無に関わらず活用できる、在宅勤務・テレワークの利用者数を、2025年時点で生産職を除く時間管理対象者を50%以上とするとしている。(トヨタ自動車・サステナビリティサイトより)トヨタ以外の大手企業でも期間・距離などの制限のない在宅勤務の取り組みが進んでおり、課題がないわけではないが、時代が確実に変わりつつあるのは確かなようだ。