■web絵本 第4話:ごみを増やさないための大切な言葉

長年にわたり子どもたちに寄り添ってきたギンザのサヱグサが、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)を親子で楽しく学ぶための物語をお届けします。
子どもたちが「気候変動」「ごみ問題」「食と水」「生物の恵み」「大気汚染」について、かわいいイラストを見ながら楽しく学べる内容となっています。小さなお子さまには読み聞かせしながら、この物語をお楽しみ頂ければと思います。

この物語の主人公は、森に住む小さなフクロウ王子。おじいちゃんの王様フクロウと仲間たちが、自然界や人間の営みを見せながら、フクロウ王子の疑問にやさしく答えてくれます。今回は、前回に続いて”ごみ問題”がテーマです。フクロウ王子が「資源の大切さ」について学びます。

ギンザのサヱグサは、1869年(明治2年)創業。「子どもたちのためのスペシャリティストア」として、子どもたちの感性を豊かに育むお手伝いを続けてきました。2012年、「SAYEGUSA GREEN PROJECT」をスタート。「Earth for Children 〜豊かな地球を子どもたちへ〜」というテーマを掲げ、環境・社会活動にも取り組んでいます。www.sayegusa.com
■第4話:ごみを増やさないための大切な言葉(ごみ問題 第2話)
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illustration ©️ 2012-2021 uyo takayama
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*このお話は前回の続きです。前回のお話はこちら

「カラスさん、聞きたいことがあるんです。」
ねぐらから、まちに向かって飛んでいたカラスに、フクロウ王子は声をかけました。昼間のほとんどをまちでくらすカラスは、人間界のことをよく知っているのです。
「資源がかれてしまわないよう、人間がどうなくふうをしているのか、知っていますか?」
カラスは「まちのリサイクルセンター(※)に、3Rって書いてあったよ。たしか、リデュース、リユース、リサイクルだったな。英語で書くと、みんなRからはじまるから、3Rと言うらしいよ。もっとくわしく知りたかったら、リサイクルセンターで聞いてごらん。」 と教えてくれました。
フクロウ王子は、さっそくリサイクルセンターに行ってみることにしました。

リサイクルセンターは、清掃工場のとなりにありました。フクロウ王子は花だんの手入れをしていたおじさんに聞いてみることにしました。
「こんにちは。カラスさんから人間は3Rに取り組んでいると聞いたんですが、どんな意味か、教えてもらえませんか」
フクロウ王子が声をかけたのは、リサイクセンターのセンター長さんでした。
「やあ、こんにちは。大事なことを知りたいようだね。3Rは資源を大切にしながら、ごみをへらすための大切な取り組みだよ」と言ったあと、着ていたセーターのむねのあたりを指先でつまみました。
「たとえばこのセーターは、20年ほど前に父からゆずりうけたものなんだ。仕立てが良くて、あきないデザインだと、長く使えてごみにならないよね。こんなふうにごみを出さないことを英語でリデュースと言って、一番大切なことなんだよ。」
「2番目と3番目に大切なことはなんですか」と、フクロウ王子が聞くと、おじさんはとてもわかりやすく説明してくれました。

「2番目は、そのままの形でくりかえして使うリユースだね。わたしが父からセーターをもらったように、ほかの人にくりかえして使ってもらうとゴミにならないよね。3番目に大切なのが、新しい製品をつくる素材として利用するリサイクルだよ。セーターなら一度ほぐしてあみなおすことだね。」
森に帰ってきたフクロウ王子は、センター長さんが教えてくれたことを忘れないよう、歌をつくりました。「ごみを出さない大切なくふうは、リデュース、リユース、リサイクル」
この歌を聞いた王様フクロウは、「いい歌じゃな。でも、リフューズとリペアも大切じゃぞ」と言いました。リフューズは、ゴミになるものをことわることで、リペアは修理して使い続けることです。実は王様フクロウも、リサイクルセンターのセンター長さんに話を聞いたことがあるのです。
その後、フクロウ王子がつくった歌は、森の仲間たちのあいだで大流行しました。森の仲間たちはごみを出しませんが、北の谷に大きなごみ捨て場ができたばかりだったので、人間の耳に届くような大きな声で、みんなが歌うようになったのです。
※リサイクルセンター=すべての都市にあるわけではありませんが、3Rを進めるための拠点として、設置する都市が増えています。
■前回のお話