野村アセットマネジメント(CEO兼代表取締役社長:小池広靖)は9月10日、PCAFに加盟し、金融機関による投融資を通じた温室効果ガス排出量を計測・開示する。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials=パートナーシップ・フォー・カーボン・アカウンティング・フィナンシャルズ)は、2015年に欧州金融機関を中心として発足した国際的なパートナーシップだ。
世界中の金融機関が協力して、投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を計測・開示する手法を開発している。
2021年8月末現在、世界40カ国以上から145を超える金融機関が加盟しており、北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカ、およびアジア太平洋地域でネットワークを拡大している。
最近ではHSBC(香港上海銀行)、ドイツ銀行が加入し、日本では、みずほフィナンシャルグループ、住友生命保険が加盟している。
同社は、資産運用ビジネスを通じて持続可能で豊かな社会の実現を目指し、気候変動を最も重要なESG課題の一つとして位置付け、投資先企業の気候関連リスクやその機会の分析・評価を統合する「ESGインテグレーション」を推進するなど、継続的に取り組んでいる。
近年は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、全社的な株式・社債ポートフォリオにかかる温室効果ガス排出量の計測・開示を実施している。
PCAFは、金融業界からのグローバルかつ標準化された温室効果ガス排出量の計測・開示基準に対する要望に応えるため、金融業界向けに独自のグローバルな基準を2020年11月に公表した。
同社はPCAFが開発した基準やデータベースを活用し、投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を計測・開示するとともに、PCAFおよび加盟機関と連携して、アジア太平洋地域における投融資ポートフォリオの温室効果ガスの計測・開示に対する取組みを促進する。
同社は今年から、投資先企業の移行リスクを評価するために、温室効果ガス排出量のみならず、カーボンプライシングを活用して財務インパクトを分析する手法を業界で初めて導入した。