パレスホテルは1997年に生ごみを発酵処理し肥料化する「生ごみのリサイクル」を始め、ホテルとしては初めてリサイクルされた肥料「エコパレス」を特定農家に提供する活動を実施している。
2019年には日本食材による「地産地消」がコンセプトのフレンチレストラン「エステール」をパレスホテル東京にオープンさせた。同レストランは、オープン当初からフードロスを最小限に留められるよう「使用できる食材は全て調理する」をコンセプトとしている。
例えば、野菜は生やローストだけでなく、砂糖漬けやパウダー、ジュースにするといった様々な手法を駆使して残さず利用。魚も皮をチップスにし、骨はデコレーションで利用するといった工夫を取り入れている。
ラグジュアリーとサステナビリティの両立が課題

しかし、こうした環境対策重視の方向性を、高級ホテルを利用する顧客の求めるニーズとバランスを取るのは決して簡単ではないようだ。
「お客様が気持ちよく過ごしていただける場所やサービスを提供しながらも、環境負荷をできるだけ少なくすることを両立させることが時として難しく感じている」とは話すのは、同社ブランド戦略室 マーケティング課コミュニケーションズ マネジャーの塩原沙織さん。
顧客からの理解を得ることが必須と考えるパレスホテルは、「未来を、もてなす」のサステナビリティコンセプトの下に、社内周知とアクションの推進を図るとともに、顧客とのコミュニケーションを進めたいという。
「ホテルとして将来を見据えた上で、目指すサービスとサステナビリティとの両立を目指していきたい」と塩原さん。コロナ禍でホテル業界も様々な変化を強いられている中、大きくサステナブルなホテル化を目指すことを標榜したパレスホテルの今後に注目したい。