英・グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で4日、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は「各国の目標が達成できれば世界の平均気温の上昇は1.8度に抑えられる」と発表した。COP26が開幕するまでは平均気温は2.7度上昇すると予測されていたが、COP26に合わせて各国は脱炭素に関する目標値を引き上げた。パリ協定が目指す1.5度目標にはまだ足りないが、一定の成果としてNGOは評価している。(オルタナS編集長=池田 真隆)

4日、COP26の会場内で最も大きな大会議場で国際イニシアチブ「脱石炭連盟(PPCA)」がイベントを行った。同イニシアチブは2017年に英国とカナダが中心となって立ち上げ、石炭からの脱却を目指すことに賛同した165の国・地域が参加している。
エネルギー需要の70%を石炭が占めるポーランドも参加しており、WWFジャパンの小西雅子・環境・エネルギー専門ディレクターは、「長くこの交渉を見てきたが、これほどまでに世界が脱炭素にシフトしているのは驚きだ」と話した。
このイベントに国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が登壇し、「COP26開幕後、様々な国が目標を引き上げた。その目標を達成すれば世界の平均気温の上昇を1.8度に抑えることができる」と述べた。
COP26が始まるまでは、各国の目標数値から平均気温は2.7度上昇すると予測していた。COP26の期間中に、石炭使用量世界5位の韓国や7位のインドネシア、9位ベトナムなど上位国が続々と石炭火力発電の廃止を表明している。
一方、日本はこのイニシアチブには参加していないと見られる。日本は石炭火力のゼロエミッション化やアンモニアの活用という、独自の道を選んだ。
海外での新規石炭火力発電への支援を2021年末までに取りやめることを表明しているが、バングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業とインドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業への公的支援は続ける意向だ。
日本政府のこの方針に対して、複数のNGOはCOP26の会場近くで4日、石炭火力発電の海外輸出廃止を求める抗議活動を行った。日本でも6日、若者の有志団体「フライデーズ・フォー・フューチャー(FFF)」が新宿で抗議マーチを行った。
【参考記事】
なぜ気温上昇「1.5度未満」を目指すのか