「会社員のSDGs認知度は82.5%と高い水準」「社員へのSDGs達成の告知や教育が実践されている会社ほど、社員のモチベーションも高くなる傾向」―。このほどJTBコミュニケーションデザインが行なったSDGsに関する調査でそんな結果が明らかになった。SDGsに取り組むことは外部からの評価だけでなく、自社の業績向上にもつながるとしている。(オルタナ副編集長=山口勉)

■「SDGsの内容を理解している」は56%
JTBコミュニケーションデザインは従業員数500人以上の企業にフルタイムで勤務する20歳代から60歳代までを対象に、インターネットで調査を行い、1030人から回答を得た。
それによると、「これまでにSDGsという言葉を聞いたことがある」という問いには82.5%の人があてはまると回答。会社員の間で、高い水準で認知されていることがわかった。一方で「SDGsの内容を理解している」という問いに対し、あてはまると答えた人は56.0%にとどまった。
年代別でみると、SDGsの内容を理解していると回答した50代・60代は6割を超えており、年代が高いほど認知が進んでいた。役職別でみると、課長・次長クラス以上は7割を超えており、役職が高いほど理解度が高かった。
■会社の取り組みを評価する社員は就業継続意識が高い
また、SDGsの開発目標8.「働きがいも経済成長も」への会社の取り組みを評価している社員ほど、モチベーションや「私はこの先も、今の会社に勤め続けたい」といった就業継続意欲も上がるという正の相関が見られた。社員へのSDGs達成の告知や教育が実践されているほど、社員のモチベーションも比例して高いことも分かった。
調査を監修した同社ワーク・モチベーション研究所の菊入みゆき所長は、「社員は会社がしていることをよく見ている。会社は社員のリテンションのためにも、しっかりSDGs達成に取り組む必要がある」と述べた。
社員のモチベーションは仕事の業績を向上させることが実証されている。同報告書は「SDGsの達成は社会から求められる取り組みであるだけでなく、社員のモチベーション向上により業績を向上させ、組織として発展・存続するためにも重要である」と締めくくっている。