小林光のエコ眼鏡(13)

2021年は、自分にとって書籍が豊産の年であった。3冊目として掉尾を飾ったのは、木楽舎から12月13日に発売した『Green Business-環境を良くして稼ぐ。その発想とスキル』。
先月、日経BP社から出していただいた『カーボンニュートラルの経済学』は、脱炭素時代の投入産出表をシミュレーションして、日本が没落を避けて成長できることを示した。こうしたマクロの絵姿・生態系を、しかし、実現するのは、多種多様な生きとし生けるもの、ならぬ会社や家庭である。
新しい、プロミシングな生態系に個別主体がよりよく適応してこそその主体は反映できるし、生態系も健康・強靭になれる。この、マクロとミクロのウィンウィンな関係づくりをミクロの側から説いたマニュアルが新著である。
数多くの環境事業のファイナンスを手掛けつつ三菱モルガンスタンレー証券などで働いた吉高まり氏との共著で、同氏と私で長年慶應SFCの大学院で行ってきた授業を下敷きにしている。
授業の経験を踏まえたので、単なる知識の羅列でなく、理解納得が得られるように構成されている点が特色で、スタートアップの若者だけでなく、例えば、社内でエコビジネスの新規開発を迫られているビジネスマン、ビジネスウーマンにも役立てて貰えよう。さらに、今後に発展が期待される今はないビジネスへのヒントも収めている。
私としては、今後、マクロとミクロとの2極だけでなく、2021年6月に出した『エコな家が横につながる』(海象社ブックレット)が扱ったような中間領域について、そのエコな脱皮・進化に関しさらに突っ込んで論じてみたいと思っている。乞うご期待である。