NPO全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京・新宿、湯浅誠理事長)は2021年12月21日、「2021年全国箇所数調査及び第1回全国こども食堂実態調査」の結果を発表した。それによると、2021年の子ども食堂の数は6007で、前年の4960から21%増加した。新型コロナの感染が最も拡大した2021年、飲食を提供することが難しい中でも、子ども食堂が全国各地で新設されたことがわかった。(オルタナ副編集長=山口勉)

同子ども食堂実態調査によると、2021年の子ども食堂の数は6007で、最も多いのは東京都(747)だ。次いで⼤阪府(470)、兵庫県(373)と続く。2020年からの増加数トップは兵庫県で、127増えた。増加率では73.9%増の徳島県が最も高かった。
厚生労働省が実施した、2019年の国民生活基礎調査(2020年は中止)によると、「貧困」とされる、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合は、2018年時点で13.5%、おおよそ7人に1人にのぼる。また、児童のいる家庭の60.4%が「生活が苦しい」と回答した。
■コロナ禍でも続ける
東京・杉並のおむすび店「芳香おむすび八十八(やそや)」店長の山守ひろえさんは、新型コロナの感染が拡大した2020年8月に同店をオープンし、同時に子ども食堂を開設した。
山守さんは「子どもだけでなく、誰でも利用してほしい」という思いから、「ちいき食堂」と名乗る。実際利用する大人も多い。
普段から利用しているという細川亜耶さんは、予約しておいたお弁当を受け取り、「子どもがまだ小さいので、いろいろと大変。月に1回でも食事を作らなくて済むのは助かる。家で上の子が待っている」と家路を急いだ。

開設当初は、毎週火曜日に子ども食堂を開いた。店頭ですぐに渡せるようお弁当にし、毎回40食から60食を提供した。
しかし、2021年になって、再び緊急事態宣言が発出され、周囲でも休業する店が増えた。山守さんは、「地域食堂を閉めることはできない。でも感染者を出すわけもいかない」と、開催を毎週から月に1回へと減らした。
コロナ禍の荒波に揉まれながらも全国で新設が続く子ども食堂。子どもや大人の居場所を作り、食事を用意するため、スタッフは日々奮闘している。