中部電力(名古屋市)は1月28日、4月からの組織改定を発表した。社長直轄の「グローバル事業本部」を新設し、再生可能エネルギーや火力発電のアンモニア・水素混焼技術などの海外事業展開を強化・拡大する。原子力については「まだ具体的な事業はない」としながら、次世代の小型炉などを「新技術」として位置付けるという。(オルタナ編集委員=関口威人)

石炭火力のアンモニア混焼などを「脱炭素」事業に
同日開かれた取締役会で役員人事とともに決定され、林欣吾社長が定例会見で明らかにした。
これまで経営戦略本部下にあったワシントン、ロンドン、ドーハの各海外事務所をグローバル事業本部が統括し、欧州とアジア太平洋を中心エリアに56人態勢でスタートする。
事業は再エネなどの「グリーン領域」、脱炭素関連の「ブルー領域」、潮流発電などの「新技術領域」そして「小売・送配電・新サービス領域」の4つの領域で展開。
脱炭素の「ブルー領域」は、同社と東京電力の合弁会社「JERA」が国内の火力発電所で実証に取り組んでいる石炭とアンモニアの混焼や、LNGと水素の混焼、そして二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)などの技術を扱う。地球温暖化の元凶として国内外で廃止の方向にある従来型の石炭火力に対し、特に日本で「高効率」と位置付けられている技術だ。
原子力は発表資料には明記されず「将来的に考える」

こうした技術の海外輸出や移転を拡大していくのかどうかについて、林社長は「我々の持っているノウハウを海外で生かすこともあれば、海外の知見を国内の方に生かすこともある。相互のシナジー効果を考えている」と述べた。
一方、原子力については発表資料に明記されていなかったが、記者の質問に対して「将来的に日本の原子力をどうするのかという観点から、もし新しい事業があれば考えていきたい」と回答。具体的には小型モジュール炉(SMR)などを想定し、「新技術領域」として扱うという。