ガソリン税減収後の「電気・EV」課税にシナリオ4つ

■悪税である理由その2: 目的税

もう一つの問題はこの税が、もともと道路整備を目的とした目的税として、これも国民の了解を得て創設されたものだということだ。確かに昔は、欧米先進国に比べて、日本の道路は圧倒的にお粗末であった。

筆者が子供のころ、道路は舗装されていないでこぼこ道ばかり。自転車で走っていると、とても走りづらい(もちろんマイカーなどない時代)。それが舗装道路に入るとスーと気持ちよく走る。ところが、そんな道路は100mも続かない。すぐにまたでこぼこ道に戻ってしまう。

聞くと、舗装されているのは町長さんの自宅前だけだったという話。(本当かどうか分からないが、何でここだけ舗装されているのかと思うくらい舗装道路が珍しかった)

しかし、その後、日本の道路整備は着々と進行し、遂には日本中が舗装道路で埋め尽くされていった。もう、道路整備はほとんど必要ない。ということで、ガソリン税を徴収しても使うところが無くなってしまった。

そうなら税率を下げろよと思う。そもそも暫定税率じゃないかと。ところが、実際にはこのガソリン税、道路だけじゃなくて、他の用途にも使われ始めた。おっと約束が違うじゃないかと思うのだが、暫定税率がそのまま延長されて、道路整備以外にも使われているというのが現状である。

そして、このガソリン税の総額は実に2兆4,398億円(2020年予算ベース)に達するのだ。

■悪税である理由その3: 消費税

さらに、揮発油税には消費税も課されることになった。「おまえ、ガソリンを買うときに揮発油税53.8円を払ったのだから、その揮発油税にも10%、つまり5.4円の消費税を払え」というのである。う~ん、ガソリン税は税金として支払ったのであって消費のための払ったのではないと思うのだが、どういうわけかそうなっている。まあ、税金は理屈ではない。お上がそう決めたのだと言われれば仕方がないのだが。

■EVには4つの課税方法が考えられる

takarabeakira

財部 明郎(オルタナ客員論説委員/技術士)

オルタナ客員論説委員。ブロガー(「世界は化学であふれている」公開中)。1953年福岡県生れ。78年九州大学大学院工学研究科応用化学専攻修了。同年三菱石油(現ENEOS)入社。以降、本社、製油所、研究所、グループ内技術調査会社等を経て2019年退職。技術士(化学部門)、中小企業診断士。ブログでは、エネルギー、自動車、プラスチック、食品などを対象に、化学や技術の目から見たコラムを執筆中、石油産業誌に『明日のエコより今日のエコ』連載中

執筆記事一覧

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。