ニットのアパレルブランド、ザ・イノウエ・ブラザーズ(THE INOUE BROTHERS)をご存知でしょうか。デンマークで生まれ育った井上聡・清史の兄弟が2004年に立ち上げ、世界一と評価される最高品質のアルパカニット製品を生み出して、ファンが増え続けています。(CSR48総監督・太田康子)
アンデス山脈のペルーの先住民族の暮らしを熟知しながら、製品づくりをすることを信条とし、現地に足を運んで生まれたブランドは「黄金のように価値あるアルパカがありながら、なぜこんなにも現地の人々の生活が貧しいのか」と関心をもったことがはじまりだそうです。
適正価格で買い取る業者がいなかったことや、デザインやブランドの価値を理解していなかったことを知り、最高品質を保ちつつその品質に合った対価と教育を大切にしています。必要以上に製品を作らないという拘りに情熱を傾けており、大量生産大量消費に対する強い違和感がそのまま製品づくりに活かされています。
昨秋、CSR48メンバーは、福島県いわき市でオーガニックコットンの収穫を行う体験型ツアーを実施しました。受け入れてくれたNPOザ・ピープルが関わっている、コットン栽培から収穫と糸紡ぎ、更に古着リサイクルの分類まで体験することができる場は貴重ではないでしょうか。
いわき市内外から送られてくる古着がうず高く積まれた倉庫で、CSR48メンバーと分類作業を経験し、まだまだ着られるとてつもない量の服の山を見上げて、大量生産大量消費について体感したツアーでした。

そんな2日間の体験からほどなく、井上聡さんのセミナーに参加する機会がありました。そこで井上さんが語ったのは、「ファストファッションであっても、普段より3か月長く着る、年1回だけでも古着を買うことで、CO2を抑えるインパクトがある」ということ。環境省によると、1着の服を作るのに排出されるCO2は25.5キロにもなります。
経済や環境、そして原料調達や縫製に深く関わる女性の人権にまで話は及び、自分事としてイメージしながら聞くことができました。
皆さんも、今着ているその服がどこからきてどこへ向かうのか、ぜひ想像力をはたらかせてみましょう。