プラスチック資源循環促進法(プラ新法)が4月1日に施行され、1カ月が経過した。私たちの暮らしに変化はあっただろうか。レジ袋有料化の動きが広がった2020年と比べ、あまり変わらないという声がある一方、行動を変えたとの声も聞かれる。秋田県のある観光ホテルでは、SDGsに対応したユニークな取り組みを行っている。(編集委員・栗岡理子)

出張には「お泊まりセット」を持参
新法施行で変化したことは何?と何人かに聞いてみたところ、コンビニ利用者ではレジ袋有料化の時のような大きな変化は感じられない、という声が多かった。カトラリーの素材や形状変更程度では、利用者へのインパクトは限定的なようだ。
ただ、これまで問答無用で入れられていたスプーンの必要性を、レジで聞いてもらえるようになった、という声もある。
一方、宿泊施設の対応では、さまざまな声が上がっている。利用者の行動パターンを最も大きく変えたのは、ホテルのアメニティかもしれない。これまで通り、歯ブラシなどを部屋に置くビジネスホテルが多数派ではあるが、フロント近くにまとめて置く施設も増えているためだ。
チェックインの際にうっかりもらい忘れ、わざわざ取りに行くのも面倒なので、出張の際には歯ブラシやカミソリなど「お泊まりセット」を持参するようになった、という声を聞いた。
不要アメニティは海外への医療支援品に
秋田県内のある観光ホテルは、エレベーター内と室内にこのような張り紙をしている。
「SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みとして、またプラスチック資源循環促進法に基づきまして、意思確認のない以下の使い捨てアメニティの無料提供を廃止いたしました。必要な方はフロントにてお渡ししておりますのでお申し出くださいませ。
(略)尚、ハブラシ・フェイスタオルに関しましては引き続きアメニティとしましてご用意しておりますが、ご辞退いただけるお客様に『医療ボランティア支援品』として寄付のご協力をお願いしております。」
歯ブラシとフェイスタオルは部屋に置くが、カミソリ、ヘアブラシ、くし、コットンセット、綿棒、シャワーキャップは、必要な人のみフロントで受け取る仕組みだ。歯ブラシやフェイスタオルを辞退する人には、フロントに「ボランティアBOX」が置かれている。
ボランティアBOXに入れられた未使用のアメニティは、フィリピンでの医療を支えるNGOを通して、「医療ボランティア支援品」として同国へ送られるという。張り紙に気づいた宿泊客が、プラ袋に入ったままの歯ブラシやタオルを回収箱に入れていた。
プリンスホテルは「使い捨て不使用」で環境保全活動に寄付
大手ホテルチェーンでは、プリンスホテルが4月1日から宿泊客に「使い捨てアメニティ不使用」を提案し、協力が得られた場合は一定額を各施設が所在する自治体の環境保全活動に寄付する。他にも、琵琶湖ホテル(滋賀・大津市)のように、竹製歯ブラシや木製ヘアブラシなどを必要な人にのみ有料で販売する宿もある。
環境問題や社会問題への関心が高まっている昨今、SDGsに取り組む宿を支持するユーザーは今後一層増えそうだ。