記事のポイント
①日立製作所がESGの領域の取り組みを可視化するクラウドサービスを開発
②GHG削減量・安全衛生・不正リスクなどを収集し、統合報告書などに活用可
③ESGに関する目標値との差を明確にして、サステナブル経営を推進する
日立製作所はこのほどESG領域の取り組みを可視化するクラウドサービスを開発した。GHG削減量・安全衛生・不正リスクなどのデータを収集し、ダッシュボードで管理できる。ESG領域の取り組みを求める投資家は増えているが、企業側に情報収集が難しいという課題があった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

このほど日立製作所が開発したクラウドサービスは「ESGマネジメントサポートサービス」という名称だ。企業内のESGデータの収集や可視化、分析を効率化し、サステナブル経営の推進を後押しする。
同社ではこのサービスの実証をグループ会社の日立建機で行った。日立建機のISO45001のリスクアセスメント業務を対象に同サービスでデータを収集した。その結果、情報取集が効率化し、年間約34%の工数の削減につながった。
同サービスでは、クラウド上でデータの定義を決めることができる。ESG領域で情報開示が求められる項目は時代とともに変化する。この変化に対応するため、取得したいデータを自由に設定できるようにした。

データ収集の方法もメールやエクセルなど既存の仕組みで対応できるようにした。これまで、ESGデータを集めるには人手による膨大な作業が必要だった。さらに、部門や国ごとにデータの形式が異なることもあり、収集後の整理に工数が掛かっていた。こうした課題に対応した形だ。
実験的に使えるように、部門単位での利用も可能だ。部門単位の利用だと、「月数万円から可能」(金融ビジネスユニット金融第一システム事業部の高橋陽介主任技師)だと言う。
高橋氏は、「煩雑だった作業をダッシュボードで管理できるようにしたことで、効率化を図った」と話す。同社ではこのサービスで2027年度までに100億円の売り上げを目指す。